ヒューズ・高感。リレキ

ヒューズは適度に取り換えましょう。

トト子の青い鳥

  水曜日のカンパネラの「桃太郎」って曲で「団子をもらって命を投げ出す物好きなんていない」ってフレーズがあって全くそうだなと思いつつも、でもサルとイヌとキジは仲間になってんじゃん、三匹も命かけてくれるヤツがいるのになに贅沢なこと言ってんの、ペット扱いだし、ほんとヒキニート(作中の桃太郎はヒキニート設定)は駄目だなと思った。いや、そういう主旨の歌じゃないことはわかってます。

 ニートは別に駄目じゃないんだけど、贅沢なことをいうニートは駄目だ。いやそれも単なる過去の自分への嫌悪なので、贅沢なことをいうニートでもダメじゃないんだけど。ダメなのは過去の自分を肯定できない私だ。

 

 きびだんごにも需要があって、それについてきてくれる人もいるんだと認められないのは苦しい。いいとかわるいとかじゃなく苦しい。

 

 キンタはタフガイ かぐやはつれない うらしまナイスガイ

 どいつもこいつもリア充ばっかり正直いけ好かない

 水曜日のカンパネラ「桃太郎」

 

 目の前にいる3匹よりも手の届かない人々のことをうらやむ。そういう状態になってしまうときはある。苦しい。水中で息継ぎをしたいのだけれど、そのやり方が分からないような苦しさだ。泳げる人には「そんな簡単な」と思われるようなことで死にそうなほど苦しい。

 青い鳥って物語はみんな知っているけれど、身近な鳥が青い鳥だって最初から気づくことは出来ない。苦労して旅をしてやっと気づくものだ。だからその旅の途中にいると、いくら他人が「周りの幸せを大切にしなさい」と言っても綺麗ごとにしか聞こえない。その言葉は溢れんばかりの眩しい光だ。でも、暗闇で急に懐中電灯を顔に当てられたって、眩しくて辛いだけだ。先に旅を終えたからといって、旅の途中の人に何かを説くものではない。

 それに「あなたの旅は本当に終わってるの?」とも思う。なぜなら青い鳥は、物語のラストで飛び去ってしまうからだ。幸せは、見つけたと思ったら、すぐにいなくなる。そうしたら、また旅が始まる。「アガリ」なんて人生にはない。あるならば、それは死ぬことだけだ。いや、死んでもアガれないかもしれない。輪廻転生を信じる信じないじゃなく、私は死んだことがないから死ぬことが「アガリ」だとは断言できない。

 だから旅の途中の人に、軽々しく「光について」を語ってはいけない。旅人は光よりも寄り添って温めてくれる人を求めている。光は役に立たない。北風と太陽だって眩しいからじゃなく暑いから脱いだ。

 役に立つ光は、旅人が自らの手で灯したランプだけだ。

 

 旅が終わらない限り、桃太郎は鬼が島に行かないで、ずっと家でPCエンジンをやり続けるのだろう。それは苦しいけれど、生きているんだから仕方ない。それに、天外魔境2をクリアして旅を終えたとしても、今度は鬼ヶ島に向かう旅が始まるだけだ。

 

 今週のおそ松さん。トト子がアイドルやってチヤホヤされたいって回で、路上生活者を集めて魚をばらまくというライブをやっていて(意味不明ですが、そういうアニメなのです。)、そうだよな、需要と供給ってどこまでも無限にあるんだなと思った。私のこんなくだらない文章にもどこかに需要があるのだろう。なくても書くけれど、あると思って書いたほうが公開するモチベーションになる。

 

 きびだんごの需要を否定して家で鬱屈している桃太郎と、何が需要なのかよくわからないまま、とりあえずチャレンジして迷走するトト子は対照的だ。

 

 もちろん、トト子のようなチャレンジ精神を全肯定をすることは出来なくて、例えば人に迷惑をかける需要と供給や、需要と供給の皮をかぶった搾取だったりするのはなくなってほしい。

 

 でも、どうせ俺には私には需要がないって鬱屈してるよりは、需要はどっかにあるんだって希望をもってチャレンジしたほうが旅を続ける気になる。もちろん人に迷惑をかけていないか、自制をする必要はあるけど。

 といっても旅を続ける気になるってだけで、幸せの青い鳥が手に入るわけじゃないから、トト子だろうが、桃太郎だろうが、別にどっちでもいい。続ける気がなくても旅は勝手に続くものだ。ただ自分が今はどっちをやっていて、本当はどっちがやりたいかを分かってればいい。わからずに拗らせなければいい。

 本当はチャレンジしたいのにチャレンジしないで、チャレンジしてる人を批判したり、失敗をあざ笑う。逆にチャレンジに疲れていることを直視しないで、チャレンジしない人を見下したり、チャレンジしたくない人に無理やりチャレンジさせようとする。

 自分が何をしたいかを分からないで拗らせると、こういうことをしてしまう。

 

 トト子はチャレンジしまくるけど全部失敗して、自分探しの旅に出たあと、巨大ロボになって帰ってくる。(意味不明ですが、そういうアニメなのです。二回目)

 それはアイドルでもチヤホヤされる存在でもなくて、ただ大きくて目立つだけの存在だ。

 そしてトト子は全身からミサイルを発射して、街を焦土と化すのだけれど、そのシーンが笑いながらも悲しかった。

 

週末は泊まりがけで予定があるので更新はないです。